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エミール・クレペリンの「空想虚言者」の扱いとサイコパスについて
エミール・クレペリンの考えた精神病質とサイコパス
サイコパスつまり精神病質は現代では器質異常を伴った人格障害であると捉えられており、疾患であって治療の対象とされると考えられています。
精神病質の定義は歴史と共に変化してきており、1856年生まれのエミール・クレペリンの時代と現代とでは、「精神病質」の言葉の意味する内容が異なっていることに注意が必要です。
クレペリンは精神病を早発性痴呆(統合失調症)と躁うつ病(双極性障害)に分類したことで大変功績がある精神科医ですが、彼の定義する精神病質人格とは、一般的な人格の成長とは非常に大きく隔たった特徴を持ち、正常な精神状態と異常な精神病との中間領域に位置づけられるものとし、その類型として空想虚言者に言及しています。
この後クルト・シュナイダーは精神病質者を10の類型にまとめ、その定義を「そのパーソナリティーの異常性のために、本人か社会が悩むもの」としたことで著名であり、この考えはその後に多大な影響を与えました。
空想虚言者とサイコパス
エミール・クレペリンは現代とは違う定義だった「精神病質」者の類型の一つとして、空想虚言者に言及しています。すなわち、「想像力が豊かで空想を優先する」「弁舌が淀みなく、当意即妙の応答がうまい」「人の心を操り、人気を集め、注目を浴びることに長けている」という点です。
貴志祐介氏の小説「悪の経典」ではサイコパスの蓮見教諭による大量殺人が描かれますが、この特徴に共通点があることが分かります。しかし虚言は、現在では自分の中にある不完全な自己像を覆い隠すための手段であってコンプレックスの裏返しであると捉えられています。
養育期に的確な愛情を与えられなかったなどの原因で、欠乏した自尊心を補てんする意味で、注目を浴びたいとか完璧な自分という仮面を演じるに至った現象と考えられるため、器質的な原因を持つサイコパスと根本が違うことに注意が必要です。
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